北の大地からのおたより

2017年10月に、開拓舎の栗田は蕎麦生産者であり開拓舎オーナーでもある大石農場の大石さんと一緒に、アメリカに行ってきました!

そこで見て体験してきたことを「アメリカ蕎麦旅行記」としてご紹介いたします。

きっかけは、いつも蕎麦から

今回の旅は、2016年に開拓舎がアメリカからの視察旅行を受け入れたことがはじまりでした。来日したのは、アメリカで日本食レストランを経営する佐藤さんと、蕎麦を生産するウイリアムズさんファミリーです。

ソバの栽培、製粉、そば粉の卸売り、さらには蕎麦店の運営という、農産物の栽培・生産、流通、販売までをトータルで行っている開拓舎と大石農産を、先進事例としてぜひ参考にしたいとのことでした。

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(→その様子は " そば耳通信【その弐】日米ソバ農家のトークは、濃くて深くてアツかった!" でご覧いただけます。)

その後、幾度かの交流でお互いに親交を深めていき、2017年に佐藤さんからのご招待でアメリカへの視察旅行が実現しました。

帯広出身、アメリカ在住の佐藤さんを訪ねて

はじめに訪ねたのは、メイン州最大の都市・ポートランドにある「与作」。メイン州はニューヨークから北へ飛行機で約1時間半。幕別町から直線距離で約9700キロ、帯広とほぼ同じ北緯43度に位置しており、気候も北海道とよく似ています。

日本食レストラン『与作』を経営するのは帯広出身の佐藤さんです。店舗があるメイン州ポートランドは港町で、牡蠣やウニなどの新鮮な海産物で有名です。

アメリカでも寿司、刺身、天ぷら、丼ぶり...などなど、日本食は大人気で、『与作』には夏の観光シーズンを過ぎているにも関わらず、大勢のお客様が来店していました。

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佐藤さんは開拓舎と同じ「蕎麦で健康を応援したい」という願いを持ち、レストランの新たなメニューとして手打蕎麦を追加し、そば粉の販売を通じてアメリカに蕎麦文化を広めようとアクティブに活動されています。

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アメリカ在住40年以上の佐藤隆宏さんは、地域の友人たちから"Tak(タック)"と呼ばれています。蕎麦の普及に精力的に取り組む一方で、余暇はアイスホッケーやテニスを楽しんでいるとのこと。とても70歳を超えているようには見えません。

「蕎麦の権威」日本から現る?

15年以上『与作』を経営する佐藤さんは、「15年!長いですね。」とよく言われるそうですが、「15年なんて、まだまだ短いよ!人間ならまだ子供じゃないか」と佐藤さん。その向上心に感服します。
レストランは屋内・テラスと合計160席、従業員は約30名、昼と夜の営業で1日300~500食を提供しているとのことでした。日本人の従業員は1名、その他は外国人でアメリカ人はあまりいないようです。

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お客様がレストランに入ると「いらっしゃいませー!」と、一斉にカウンターから日本語の元気な声が。与作で佐藤さんと一杯飲んでいると、佐藤さんの友人たちも多く来店されました。

「ここで飲んでいて、今日は仕事しないのか?」と友人に聞かれると「日本から"蕎麦の権威"が来てるんだよ!」と答える佐藤さん。
ん~!とても光栄ですが、ちょっと照れてしまう紹介をされました。

蕎麦を生産するウイリアムズさんの畑へ。

次に訪ねたのは、蕎麦の生産者ウイリアムズさんの畑です。(→来日されたときのウイリアムズさんのお話しは大石農産のWEB " 日米ソバ農家アフタートーク「目指すものは健康!」" でもご覧いただけます。)

ウイリアムズさんの畑がある小さな集落リネウスへ、ポートランドから北海道人も驚くほどの長距離を大移動!その様子をまとめたアメリカ蕎麦旅行記(2)をどうぞご覧ください。

アメリカ蕎麦旅行記 目次

アメリカ蕎麦旅行記(1)
アメリカ蕎麦旅行記(2)
アメリカ蕎麦旅行記(3)
アメリカ蕎麦旅行記(4)
アメリカ蕎麦旅行記(5)

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 開拓舎でご提供している蕎麦は全て、十勝の大樹町にある大石農産で生産された「十勝海霧そば®(うみぎりそば)」。大石農産は開拓舎の運営もしており、ソバの生産から製粉・製麺、料理の提供まで、全ての工程を一貫して行っています。
 今回のそば耳通信は、単一生産者として品質の責任と、お手頃価格で提供したいという熱意を持ってソバ作りに励んでおられる大石農産にお邪魔して、大石社長と3人の息子さんに「なぜ大樹でソバ作りをしているのか?」について伺いました。

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前列左から次男の浩輝さん、三男の託三さん、長男の将寛さん。奥は大石社長。

――ソバの生産地というと、長野や幌加内が有名ですが。

IMG_34341.jpg そう、全国的には長野の戸隠、道内だと道北の幌加内、十勝管内だと新得や鹿追といったところがよく知られたソバの産地。一般的に、山間部で寒暖の差が激しい土地で作られるイメージかな。
ところが実際は、ソバというのは水はけのよいところであれば、どこでも作ることができる作物なんだ。正直、痩せた土地でも条件が悪い土地でも育つ。じゃあなぜみんな作らないのかというと、作付面積に対して収量が少ない。農林水産省のデータでは、平成29年産ソバの収量は、10a当たり54kgなんだけど、同じ年の水稲では 10a当たり収量は534kg。ちなみに十勝でメインとなる麦は426kg。同じ面積を作付しても、米の10分の1くらいしか採れない。そりゃ、ソバじゃなくて米や麦作るってね(笑)。

 ――ではなぜ大石農産はソバを作っているのでしょうか?

 うちは元々大根農家だから毎年大根を作る。ところが同じ畑で何年も大根を作り続けていると、連作障害といって、大根が病気になったり収量が減ったりしてしまう。そこで対策として、1年大根を作ったら次の年は別の作物を作る、これを輪作と言います。大石農産にとってソバは元々、輪作用の作物なんだよね。

 大石農産では毎年、全ての畑について専門機関で土壌分析を行っていて、その結果に基づいて必要な栄養素(肥料)を補い、最適な土を作っている。
 そんなわけで、大根を植える前の畑は最適な状態になっているんだけど、収穫後の畑は、大根にとって必要な栄養素を土から吸収した結果、土壌にいる菌のバランスが崩れているんだ。
 そのため偏った土壌菌のバランスを正常に整えて土を安定させる必要があるんだけれど、ソバを植えるとバランスが整うと感じた。だからソバを選んだんだ。

――海の近くでのソバ作りですが、他の地域のものとの違いはありますか?

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 畑の隣が海というくらい近いので、畑仕事をしていると海の匂いが結構するね。また「十勝海霧そば®」という名前の由来となった海からの霧が立ち込めて、畑全体に降るというか、畑を包み込んでいる。特に朝は幻想的な風景だよ。
 こうした海からの風と霧に含まれるたくさんのミネラル分を、ソバの葉がしっかりと受け止めて中に取り込んでいる。
 それはソバの味に必ず影響すると思っていて、何か数値で表せるものでもないんだけれど...。海のミネラルを含んだ蕎麦は「味に深み」が出るんじゃないかな。
 一般的には山のイメージの強いソバだけど、海の近くならではの味や風味、情景を感じてもらえればという思いで「十勝海霧そば®」と名付けたんだ。

――今後の目指す方向や課題などを教えてください。

 先ほどソバが面積当たりの収量が少ないという話をしたけれど、せっかくならたくさん採れたほうが嬉しいでしょ(笑)。でも収量を重視するあまり、味が落ちるのはNGだと思っている。あくまでも味優先で!

 ソバも大根も同じだけど、「作物の味」=「土の味」だと思っているので、何よりも土づくりを大切にする姿勢は変わらないね。
 土壌分析を基に、必要な栄養素を補充する。肥料のやりすぎで病気になることのないように見極めること。

(息子さん3人が口を揃えて)課題としては、雑草との戦いですね。
 ソバが小さい時にはカルチ(※)などで雑草取りをするのですが、それだけでは間に合わないんです。ソバより少し背丈の低い雑草が混じっていて、コンバインで収穫した後、乾燥機にかけるのに選別するとタデなんかの草の実がかなり入っているときがあります。効率が悪いので、とにかく雑草対策が一番かな。

 ソバ作りを始めてまだ6,7年なので、まだまだこれから。色々なことを試して、どうしたらよりよいソバが作れるかを日々考えています。
開拓舎では「一日一食、蕎麦で健康に」を掲げていますが、まずは蕎麦になる前の、作物段階が健康でなくては。
そこまで責任が持てるのは、生産者だからこそ、と思っています。

(※) カルチ...爪状の刃を畑に立ててけん引することにより、うねの間の雑草を取る作業機械

 ――ありがとうございました!
あっ、最後に、皆さんの開拓舎でのお気に入りメニューを教えてください!

社長「もりそばとそばいなり!これ絶対!」
託三(たくみ)さん「野菜かきあげそば!」
浩輝(ひろき)さん「ごぼうかきあげそば、あったかいやつ~」
将寛(まさひろ)さん「え、中華ちらし...あれ?変?」

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 カカオ豆の選別からチョコレートになるまでの全工程を一貫して行うことを「Bean to Bar(ビーントゥバー)」といいますが、開拓舎の蕎麦はさながら「Seed to Soba(シードトゥソバ)」。
 おいしい蕎麦を提供するために、土づくりからこだわり、責任を持って打ち込んでいるみなさん。これからもおいしい蕎麦をお手頃価格でお願いしますね!
 ありがとうございました!

 

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